そして鳥の巣穴からの帰り道。


行きと違って、ブランが大虎の姿であたしを背に乗せて歩いていた。


楽ちん楽ちん~。もうヘトヘトだし、助かるぅ~。


「それにしてもお前、よくあんな大蛇に向かって行けたもんだな」


「だって鳥や卵が襲われてたから」


「それにしたって、ちょっと無謀じゃないか?」


「黙って見ていられなかったんだよ。親を失う姿や、子を失う姿を」


あたしも、みなしごだから。


親がいないってさ、すごく寂しくて、辛くて、苦しいんだ。


あたしって意地っ張りだから、わざと平気な振りして自分をごまかしてたけど。


「悲しいだけじゃなくて。親がいないって、ただ生きていくだけでも不利なんだよ。大変なんだ」


「そうだな。それはよく分かる」


「うん。その点は人間も野生動物も同じ。だから無視できなかったんだ」


「ミアンは、ずっと孤独に戦ってきたんだな・・・」


ブランが、しんみりとした声でポツリと言った。


その声の響きが、あたしの心にじんわりと柔らかく染み込んでいく。


ブランは本当に共感してくれてる。分かってくれているんだ。あたしの心の内を。


そうだよね。タヌキたちも戦って、これまで懸命に生き抜いてきたんだもん。


一緒なんだ。あたしたちは。


・・・・・・うれしい。

分かり合えるって、こんなに温かくて、柔らかい気持ちなんだね・・・。