槙ちゃんが来る。

「愛、どうしたの?」

「あのね、この間の話なんだけど...」

「うん...」

「正直に言うね。あたしの気持ちはまだあいつの所にあるの...」

「わかってるよ」

「でもね、ずるいけど、この子に父親がいないのは悲しいなって...」

「なら待つよ。愛が俺の所へ気持ちが戻るのを。でも、一緒に住むのはどう?
俺も愛のお母さんも俺の親も心配している。だから、一緒に住まない?
もちろん、愛の気持ちが戻るまで、キスもしたりしないから」

「うん。わかった。槙ちゃん、ありがとう。勝手に消えたあたしの為に...」

「あれから彼女もできたりしたんだけど、なんか違くってさ。
やっぱり愛じゃないとダメなんだなって、思ってたんだ。
気持ちが戻ったら、返された指輪、してもらえる?」

「うん。いっぱいありがとう...」

話している間中、槙ちゃんはずっと手を繋いでいてくれた。
それがとても安心できて、涙がぽろぽろでできた。

「泣き虫はあいかわらずだなぁ」

槙ちゃんは笑う。

頭を撫で撫でしてくれる。

その一挙一同が秋ちゃんを思い出す。

それでまた大泣きしてしまう。