一目惚れ、だった。 入学式の日、初めて見た瞬間に“好きだ”と思った。 でも私はあくまでも“生徒”だから。 先生の目にとまるには、こんな方法しか浮かばなかったんだ。 それからずっと、数学だけは赤点をとりつづけた。 補習を受けるために。 その時間だけでも、先生と2人でいたいがために。 他の教科ではいつも満点か、90点代。 生徒会の副会長を1年の秋からつとめる私。 他の生徒も先生も、1つの弱点くらいなら、見逃してくれる。