でも、なかなか気持ちは落ち着いてくれない。

ぼーっとしたまま歩いて、歩いて、気づけばやっぱり何時もの場所に来ていた。

冷たい海風が今の私にはちょうど良い。


「本当に……近づけた……」


私、月島先輩とまた会話が出来て、しかも、先輩達が組んでるバンドのメンバーに誘われてしまった。

少なくともライブがある後一か月は月島先輩と一緒に居る事が出来る。

願った事が、また一つ現実に。

明日は月島先輩の家に行く事にもなってる。

バンドの練習とはいえ、物凄い展開だ。

しかも、実は―…小栗先輩が私に声をかける前に、

〝明日、駅前に十時”

って月島先輩から言われた。

私が家の場所を知らないから、迎えに来てくれるって事らしい。

嬉しいけど、それ以上に今は不安や心配が大きい。

まさかこんな形で月島先輩に近付けるなんて、1ミリも思っていなかったもの。