そして、現在。


――トントン…

俺は眠れずに、ビビの部屋の扉を小さく叩いた。

｢はいはい…｣と眠たげな表情のビビが、部屋の中へ俺を招き入れる。


｢……来ると思った。｣

そうっと扉を閉めながら、ビビは呆れ顔で笑った。

俺はビビのベッドに腰を掛け、小さく弱々しく子供たちの様に両手を広げる。

｢抱き締めて｣と。


｢…もぅ。光祭りの前日は毎年ね？大きな子供ね？リュウ。｣

そんな憎まれ口を言いながら、ビビは俺の頭をそっと抱き締めてくれた。


｢…大好きなミートパイを食べながらも上の空だった『お父さん』？お口に合わなかった？｣

｢いや…？旨かったよ？｣

瞳を閉じ、ぎゅっと抱き締めると、ビビはくすぐったそうに｢ふふっ｣と笑う。


子供たちも大好きなビビのミートパイは、俺の好物。
それを子供たちと、家族の皆で一緒に食べる。

あえて口に出さない優しさ。
俺を元気付ける為の物。


｢…お父さんが元気無いって、子供たち心配してたわよ？｣

｢……闇休みの宿題を見ると、未だに…どうも駄目だな…｣

｢あらあら？仕方のない『お父さん』だわね？｣

｢ははっ…｣