あぁ…
疲れたなぁ…

今日のお勤め先は街の中心部。
人々が多く行き交う闇の中。

闇に紛れた白いケープのフードの中に二重に隠れ、俺はひとつ大あくび。


「光祭り」が明日に迫り、
中心部に在る広場では急ピッチで準備が行われていた。

それの言わば「現場監督」。

協会の人間が立ち会いの元で準備が進められるが、じじぃ共は本部から動きゃしねぇ…。


「リュウ様、これはどちらに運びます?」

協会の雇われ舟師が、大きな荷物を指差して俺に問い掛けていた。


「…えぇ、それは…」
「それから、こちらが…」

じじぃ共に渡されたリストを確認しながら、現場の民に丁寧に「品良く」指示を出す。

…その「品良く」が、
俺を一層に疲れさせるのだ。


『そっちじゃねぇよ!こっち!もっと「ちゃっちゃか」動きやがれ!』

例えば、そう言えたなら…
あぁ…随分と楽だろうに。


俺の気疲れと比例する様に、
何も無かった広場には着々と荷物が運ばれ、祭りに使われる祭壇が少しずつ形になっていく。


中心に大層な祭壇。
祭壇からは、青色の長い敷物。

その両端には、明日多くの民が腰掛ける細工が付いた長椅子がいくつも並ぶ。