この男の子は、レン。
ある日から、突然に夢にうなされる様になった。
それまでは他の子供たちと変わらず、どんな夢を見たのか楽しそうに皆の輪に入っていたのだが…。
ある日…
いつもの夢の中で、大切だった誰かを亡くしたらしい。
それからというもの、
レンは、悲しい夢ばかりに囚われていった。
現実では、
やはり両親を亡くしていた。
生まれてすぐの事だったので、レン自身に記憶は無い。
しかし、少なからず自分と重ねてしまうのだろう。
レンもまた「人魚」だった。
どうしても…、
人魚だから、
そういう星の下なのか。
そう思ってしまう自分が居た。
しかし…
俺とレンは違う。
例え、
どんな悲しい内容でも、
「夢」を見れるだけ、
幸せなんじゃねぇかと…
そう思うのだ…。
「…さぁ。もう一度寝よう、レン。じぃさんに『おやすみ』を言え…」
「うん。おやすみ、おじぃちゃん!またお話聞かせてね?」
「…あぁ、おやすみ。二人とも、また明日なぁ…」
闇の季節は、
神が…
子供たちに与えた「試練」。
協会ではそう呼んでいた。