『…光の届かぬその地には、我らの声も届かない…』


あぁ…
それで、光が届く様に「星たちを集める」に至ったのか…。


『…前任は苦しみから逃れる為に、自らの記憶を封じた…』

『運命を紡ぐ者に与えられるその術を使い…、神と呼ばれ…暗闇の地を導いているだろう…』


あぁ…
それは孤児院のじぃさんから聞いた話だ。

じぃさんは喜んでいたよ。
ユピテルが来れたのは俺のお陰だってな…


俺は…
これから星を渡って…、

皆が思い思いに見た、前世の夢の中に行くのかな…


それは、楽しみだな。

俺が見れなかった、
羨んでも羨んでも手に出来なかった世界を、自分で見に行けるんだから…。



『…運命を紡ぐ者…、そなたもまた…世界の運命の輪の中に在る…』

『…金色の懐中時計を手にし…、その術を得よ…』


声は途絶えた。

七色に光る街が歪み、
何処か違う場所へと…

移動した様だった。


街は暗闇に包まれて、
空には暗く光る星が14個。

よく見れば…、
あの崖の上に在った様な沢山の木々に囲まれていた。

しかし、
ここは別の世界。

その木々は、優しい緑色の光を空中に放っていた。