駄目なんだよ…
それじゃ、駄目なんだよ…
「…誰でもいい訳じゃない…。俺しか…居ねぇんだよ…。代われるのは、俺しか…」
そう決心を鈍らせないでくれ。
法皇の申し出は嬉しかった。
カイトが涙を堪えて俺の胸ぐらを掴む様にも、こっちまで泣き出しそうになる。
「何故だ、リュウ…」
「……光の子、いや…光の御子だから…?あの伝承は、あながち間違いじゃなかった…」
「……?」
何もないところから信仰は生まれはしない。
先程、法皇はそう言った。
本当にそうなんだよ。
「…幾つもの旅(前世)を繰り返し、子らは今、最も「光」に近い此の地に在るのである…」
「世界は光と闇を繰り返す。闇の季節に子らが見る夢は、子ら自身の前世であり目を反らさず受け止めるべし…」
俺は淡々と言葉を並べた。
それは、
飽きるほどに聞いた…
「…それは、協会の教え…」
法皇の言葉に「あぁ」と頷く。
「俺は光の御子。前世の夢を見れなかった。俺には、前世が無い…。」
「――だから!?だから何だって言うんだよ!!」
カイトの言葉に昔を思い出す。