繁る木々を見上げ、時折その大きさに感嘆の声を殺しながら進んだ。
一際に橙色の光が集まる場所を見つけ、そこを目指した。
一軒の大きな建物だった。
それを囲むようにして、人々が集う固まりが幾つかあった。
土の上に座り込み、
談笑している様子だった。
「…すみません、アラタという方を探しているのですが…」
「――あぁ、街の舟師の人?新顔だね!ちょっと待ってな?…――アラタぁ~っ!客~!!」
声を掛けた親父は、探しに行く様子もなく、その場に腰を下ろしたまま名を呼び叫んでいた。
「………?」
近くに居るのかと、俺はその場で周囲を見回していた。
異端者の族長の息子で、
更にはアキラの父親か…。
どんな人物なのか、あの2人が極端で想像がつかない。
「――…はいは~い、どこ~?」
「……!?」
まるでカイトの様な調子の良い声が聞こえて、どちらかと言えばお祖父さんの様な落ち着いた人物を想像し始めていた俺は酷く驚いた。
「…ぁ、突然に申し訳ありません。アキラのお祖父さんに貴方を訪ねる様に言われまして…」
「うちの?じいちゃんに?」
人違いか?
そうあって欲しい程に、見るからに軽そうな人物だった。

