「…心配しなくても、上にも人は居るぞ!?まぁ街ほど明るくはないけどさぁ?」

「…ぇ?」

俺の心配を見抜いてか、アキラはそう明るい声を出した。
橙色に照らされた八重歯の覗く表情に、不安の色は伺えない。


「ここの住民、あんまり見掛けなかったろ?皆、今は上に行って作業してるからな!」

「…作業?」

「あっちにしか無い物を集めて蓄えてるんだ。まぁ、行きゃあ分かるよ!」

俺は首を傾げながらもアキラの言葉に頷き、足を一歩踏み出した。


「――…ぁ。アキラ、カイトに先に街に戻る様に伝えてくれ。俺は大丈夫だからって。きっとビビが心配してるはずだ。」

「ビビ?…あぁ、例の…」

カイトは何処まで話しているんだか、アキラは俺の顔を見て「ニヤリ」と笑った。


「……何だよ。じゃ、頼むな?」

「いってらっしゃ~い!早く帰って来いよ~?どこぞの舟師にビビを持ってかれるぞ~?」

アキラは実に楽しそうに、
俺の背中にそう叫んでいた。


……カイト、
後で殴る事決定だな…

小さく舌打ちをしながら、
俺は1人、
暗闇の道を進み続けた。