「――ここを道なりに登ってけば、上に着くからな!」
アキラは、橙色のランプを1つ、俺に手渡しながら道を顎で指した。
お祖父さんは別室で俺を待っていたアキラを呼びつけると、道案内する様に言付けた。
「…悪いな、助かったよ…」
「まぁ~何だか知らないけどさ、俺は行かねぇよ?やっと光の季節が来たってのに、わざわざ闇の季節に戻るなんてさ?」
崖の上は、
カロリスの反対側の土地。
今は闇の季節が訪れているはずなのだ。
「光の季節が好きか?」
「そりゃね!じいちゃんが住む元の家も、崖の中だから暗いし。崖の上には、あっちに闇の季節が訪れてる時しか出れねぇし!」
「…あぁ」
光の季節のこの崖の上は、
白い星が近い為に気温が高く、俺たちの体に影響が出てしまうのだろう。
「…夢の中でさえ、俺の前世は夜の世界だもん。光の季節くらいは水場で光を浴びて暮らしたいね!もう闇には飽き飽きだ!」
アキラはそう鼻息を荒げた。
俺はランプを持つ腕を伸ばし、未だ見えぬ道の先に瞳を凝らした。
崖の上は真っ暗なのだろう。
闇の季節には慣れているとはいえ、それは街での事。
人々が生活の為に灯すランプで、幾らかは明るいのだ。