「…カロリスの水位が下がっているんです。例年の光の季節より気温が高く、街の学者は『神の住む…』いや、あの白い星がこの星に近付いて来ていると…」
「ほぉ…?」
「協会の法皇は信仰ゆえに喜んでいますが…、しかし…幼い人魚たちは脱水症状になり始めています。このまま時が進めば、決して喜んでいられる状況ではない様に思うのです…」
「…ほぉ、そうか…」
俺は正直に自分の考えを彼に話した。
協会の光の子である俺が、『異端者側の考え方に傾いている』と、彼にとっては愉快な事なのだろう。
深く被るフードの合間から、時折口元に笑みを浮かべる様子が見えた。
「……1つ、訂正からしようかのぅ。『あの白い星がこの星に近付いて来ている』と言ったがな、逆じゃ…」
「――逆…?」
「…白い星は、動かん。」
この星が、動いている。
そう言っているのか…?
「…協会の地下で、古代の洞窟が発見されたと…、この地にも伝わって来ているよ…」
「――えぇ。」
俺からその話題を振る前に、
彼の口から出た台詞。
全てが繋がっている。
そう息を飲んだ。

