崖の内部は、古くから掘り進められていただけあって、複雑に入り組んでいた。

固い岩盤の道を進むと、光の季節だというのに明るさは無く、内部にはあの星の光が届かないのだと分かった。

時期に関係なく、
いつまでも闇の季節の様に暗いのだろう。

白い星の光を避ける様に、異端者はこの崖に穴を掘ったのかもしれない。


「…この様な姿ですまないがね…、あまりあちら側の住民の目に触れたくないんじゃよ…。」

アキラのお祖父さんは俺をここに招いてくれたが、カイトに会おうとはしなかった。
招かれたのは俺だけだった。


「…いえ、急な申し出を受けて下さり感謝致します…」

お祖父さんは、広間に多少のランプがあるだけの薄暗い部屋にもかかわらず、
それでも服のフードを深く被り、決して俺に顔を見せようとはしなかった。


「…光の御子、聞きたい事とは…何じゃろうか…」

ゆっくりとした、
聴いていて落ち着く声だった。

古い言い方なんだろうか。
お祖父さんは俺の事を、
『光の子』ではなく、
『光の御子』と呼んだ。


「――何から聞くべきか、悩むところですが…」

「…あぁ、何でも…。そろそろ来るだろうと思っておった…」