「…いいから読め。」
「はぁ、内容なら知ってるよ。『協会設立以来、初めての異端者は、我々の崇める神の住む星を災いをもたらす物と非難し、カロリスの果てに追放された』…それが?」
「孤児院の院長に、確か聞いた事がある…。それが、協会初代の法皇だった人だと…」
「…初代の法皇だと…?」
ジークに向けた険しい表情。
俺の眉間のしわが一層に深くなる。
どういう事だ?
大昔に協会を設立したであろう初代の法皇が、自ら協会に異を唱えてカロリスを追われたというのか。
「…何が…あったんだ…」
「何かが、あったんだろう?年表で見ると、『カロリスの人柱』の後の事だろうなぁ?この年表自体が怪しいけど…」
ジークは2冊の資料を交互に見ながら、そう首を傾げた。
俺はますます訳が分からなくなり頭を抱えた。
もう…
答えは、この資料室には無い。
「……カロリスの外れに行く…」
俺がぼそっと呟いた言葉に、ジークは目を丸くした。
しかし、すぐに目を伏せて溜め息を漏らした。
「…その金首飾りは目立つからなぁ…。異端者の集団の中は危ねぇだろ…」
でも答えがあるとしたら、
そこ以外には無い。

