俺が静かに考え込む前で、
舟師は手を動かしながら言葉を続けていた。
「まぁ、どっちが良いんですかねぇ?人々が長年夢見た広い大地が手に入るのかもしれませんが…。人魚たちが、わざわざ底に潜って資源を集める手間も省ける訳ですし…」
「……えぇ」
「そうしたら、土売りだって商売になりゃしませんね?」
そりゃ、そうだ。
土が簡単に手に入る様になれば、土売りなんて商売も成り立たなくなる。
「…ぁ。…リュウ様、人魚たちは水場が無くても大丈夫なのですかね…?」
「……分かりません。」
舟師の疑問。
具体的に核心には触れなかったが、人魚は水場を無くしても弊害なく、これ迄通りに生きていけるのかを指した。
この地に人魚は減りつつある。
人は双子として生まれ、
本来は皆が持つであろう人魚の能力は、2つの体に分散される事で表には出なくなる。
人類存続の為に、居るか居ないか分からない「神」がそう仕向けたのだとしたら…、
きっと…
この星がこのまま干上がって水場を無くしたら…
近い未来、
人魚にとって、
生きにくい地になるのだろう。

