しかし…
毎日あちぃな…
光の季節になると、闇の季節に比べこのカロリスの気温は急に上がる。
この急激な気温の差に、衰弱する年配者も多く、2番地は忙しくなるのだ。
ギィ…ギィ…
俺は2番地を後にし、舟師に送って貰いながら、顔をしかめて眩しさに耐え、空の星を見上げていた。
「…こう毎日暑いと、体が参ってしまいますね…」
俺が声を掛けると、舟師は大量の汗を流しながら口を開いた。
「光の季節、毎度の事ですが…、今年はいつになく暑いですよ…リュウ様。」
「えぇ、そんな気がしますね?」
他愛もない世間話。
俺は軽い気持ちで、額に浮かぶ汗を片手で拭っていたのだが、舟師は深刻そうに表情を曇らせて言った。
「何も体感温度だけで言っている訳ではありませんよ。」
「え?」
「…カロリスの水位が、少しずつ下がっているんですよ…。」
「……えぇ?まさか…」
俺は舟師の思い込みだろうと、笑みを浮かべながら舟師を見上げた。
毎度、1年振りの暑さにそう感じるだけであって、カロリスの水位が下がる等、物的証拠があがる事は無かった。
舟師の話を詳しく聞くと、
俺の表情も険しくなっていた。