2番地は、墓地だ。
この街の住民は皆ここに眠る。


「光の子であるリュウ様に送って頂けるなんて、おばあちゃんは幸せだわ。」

家族は、そう微笑んだ。
俺は複雑な気持ちを笑顔の裏に隠して頭を下げた。

今、
1人の老婆が天に召された。


「あぁ、きっと光の元に行けたわ。わざわざ有り難うございます、リュウ様。」

「…いいえ」

この街の住民は、
若すぎる死に悲しむ事はあっても、老人の「死」を悲しまない。
むしろ喜ぶのだ。

協会の教え。

この地での天命を果たして死に逝く者は、『神の住む星』へ行けると信じられていた。

家族は、空に輝く白い星を仰ぎ、無事にそこへ辿り着ける様に祈った。


複雑だった。

青い空に輝く白い星。
本当に、あれに神が住んでいるのかも分からなければ、『光の子』である俺に送られたからといって、恩恵があるかと問われれば、俺には答えようがない。

街の住民全てが、
協会の教えに踊らされている気がした。


……本当にあの星に神が住んでいるのか…?


『あの星に…神なんて、住んでいない…』

俺は消えたユピテルの言葉を思い出していた。