後ろを振り向くことなく無我夢中で走った。 途中で何回かこけそうになりながらも必死に走った。 大好きな緋呂くんの元へ… 見慣れた町を通り過ぎればすぐそこに緋呂くんの家がある。 「ハァハァ…」 呼吸を整えながらインターフォンを押した。 「陽菜ちゃん?」 1分もしないうちに緋呂くんが玄関から顔を出す。 一方のあたしは膝に手をついて息を整えていた。 「取り敢えず…中入る?」 私はコクリと頷いた。