私の気配に気づくと、そっと微笑む。 一つ上の先輩だ。彼とはここで知り合った。 よくある上巻と下巻に分かれた本で、下巻を探していたら彼が借りていたらしく、ちょうど返しに来た時に声をかけてくれた。 あたしが上巻を借りていたところを見ていたらしい。 彼の横の席に座る。 何と無くわかるだろうが、あたしは彼に惹かれている。 整った顔からしてタイプだった。クールな性格の上、たまに見せる笑顔が母性をくすぐられる。