この事から、小沢は伊達政宗と宮本武蔵にも似ているといえる。


「じゃあ、ミノル君は誰に似てるの?」


実(ミノル)の書いた文章を横から見て詠美(エイミ)言った。


「恥ずかしいな。勝手に人の携帯を覗かないでくれよ!」


と耳が熱くなるのを覚えながら実はいった。

耳はおろか、顔も真っ赤であっただろう。


「他のサイトで上位にいたのに自分の文章を見られるのが恥ずかしいんですか? ミノル君は変な人だね」



と変人呼ばわりされる実。

お互いの顔が20センチと離れていない。

緊張額に汗を浮かべながら、

実は携帯を閉じた。


「もう今日は終りですか?」


と残念そうな詠美。彼女の雪のように白い顔が、


さらに白くなる。これが、鼻白んだとでもいうのだろうかか。


「何をガッカリしてるのさ。携帯は定額制ではなくても、パソコンから見れるよ」


「そうなんですか? 携帯小説なのに!? 帰ってから続きを読みますね! じゃあ今日は帰ります。

続きを頑張って下さいね。

結局何を言いたいのか分からなかったし。

後、日曜日に教会サボっちゃ駄目ですよ。

後、タバコもお金が勿体無いから辞めて下さい。

辞めたら余ったお金でおごって下さいねー!」


と長々と捨て台詞を残し、

詠美は去って行った。


「いつの間に俺の家に入ったんだ? 奴は忍者かよ」


詠美の部屋に自分一人になった実がそう呟いた。


その顔からは赤みが取れ、

普段の色白で涼しく穏やかな表情に戻っていった。


そしてソファに腰掛け、

物語の時代背景を作る作業を続けた。

この時に彼は知らない。

今の世の中のあり方が、

僅かな間に激変し、激動の時代を迎える事を。