そして町中を通らずに、あえて自然の中の道路を選んで帰った実。


「へー! 買い物しないで家に帰るんですねー! 偉い偉い!」


と誰もいないはずの助手席から声が聞こえて驚いて横を向いた実。


そこには、透き通るように白い肌の詠美が瞳を輝かせながら大きな池のある自然公園を眺めている。



「何故俺の車に詠美ちゃんが乗っているの? 不法侵入で訴えるぞ!」


「ごめんなさい! ごめんなさい!」


と驚きながら言った実に、

余りにも必死に謝る詠美。

その必死な声に実はすっかり、

怒る気持が消え去ってしまった。

詠美の謝罪は反則だ。
例え、自分が懸命に焼肉が焼けたら全て詠美に捕食されても許してしまうほどに。


詠美の長所は素直なところと、恥ずかしがらないところだ。


実はその逆の性格だった。

主義や主張、身体的な特徴は似ていても、

全てが似ているわけではないのだ。