「アハハ! 頭良すぎ! ありえなーい!」
と作品を早く書けと言う詠美。
喧嘩を売っているらしい。
と実は内心怒った。だから、
携帯を閉じて更新をやめた。
「何でやめるの! やめないで下さい!」
さっき思いきり馬鹿にしたろ!
と実は思ったが、心の中で毒を吐いただけで我慢をした。
「帰って昼飯食ったら続きを書くからパソコンで見てよ」
と言って手を上げてひらひらと空中を泳がせながら実は教会を後にした。
そして、車のドアを開けて勢いよく社内に入り、
また勢いよく車のドアをバタンと締めた。
よくドアが壊れないものだと思う。
だが、彼は車のドアを思いきり閉めると破損する可能性があると知っている。
だから、友人の460万円のスポーツカー乗る時はハンドア寸前なくらいにソフトに閉めるのだ。
だが、彼は自分の車だからそんな事は全く気にしない。
何か違うが、人に優しく自分に厳しくな人物だった。
そして詠美もそのような性質を持っている人だった。
二人は似ていた。生まれた家と場所は違うが、
その他は似ていた。勤勉なところ以外は。
どちらが勤勉でどちらが勤勉でないかは、
知恵があるなら誰でも分かる簡単な問題だ。
もちろん詠美が勤勉なのである。


