靴を履き換えてくるから少し待っていて、と私に声をかけ吉良くんはいなくなった。
た、助かった……
どうやらバレてはいないようです。
強く握ってしまいくしゃくしゃになった紙をカバンに直し、私も靴を履き換えた。
「それでね、その時の伊藤博文が……」
「あ、それ授業で聞いたことがあります、確か……」
いつものように吉良くんが話す帰り道。
歴史の話を楽しそうにする吉良くんはキラキラしていて、
歴史自体はそこまで詳しくないけどこの時間は結構好きだ。
だけど、今日は少しだけいつもと違っていた。
「それじゃあ、また明日。学校でね」
「はい、また明日」
家まで送ってくれた吉良くんに手を振り返し、家に入ろうとした。


