でも、もし逆なら?
私が吉良くんのために何か用意したとして、それをいらないと投げ捨てられたら?
私は、きっと怒るだろう。
どうしてそんな酷いことをするのって。
今ここで帰ったら、吉良くんの気持ちも何もかもを踏み躙ってしまうことになる。
私には出来ない。
大切な人が悲しむのなんて、見たくないよ。
私は制服のネクタイに手をかけた。
きっと、吉良くんはどこかで私を待ってくれている。
「良かった、はるちゃん……」
「まこちゃん、吉良くんはどこにいますか?」
「第二体育館にいると思うわ」
私の学校は生徒数が多いため体育館がふたつある。
ひとつは1階に、もうひとつは3階に。


