よろけて大きく躓いてしまいそうになったところを、誰かに支えられる。
「き、吉良くん……?」
「うん、僕だよ。ねぇ、少し抜け出さない?ふたりきりで回りたいんだ」
え、でも……
まこちゃんたちが待っているんじゃ……
そう伝えると、彼は大丈夫だよと笑った。
「穂積に連絡を入れておいたから、堤さんにも伝えてくれるはずだよ。
それとも、僕とふたりで回るのは……嫌かな」
「そ、そんなことない!」
吉良くんとふたりで回るということは考えていなかったけれど、一緒にいられるのはやっぱりうれしい。
私も回りたいです、なんて気の利いた言葉は言えないけど。
吉良くんといると、心地いい。
その気持ちに嘘はないから。


