ふたりは声を潜めて話しているので、なんだか非常に入りづらいです……
「はるちゃん、見ててくれたかな?」
公演を終えた吉良くんが、舞台袖から出てきた。
「はい。とても素敵なお話でした」
「君ならそう言ってくれると思ったよ。ふふ、やっぱり僕には君しかいないよ」
にこにこと笑う吉良くんは、ほんとにうれしそうで。
そんな吉良くんを見ていると、なんだか私もうれしくなって思わず頬が緩む。
「もうお昼の時間だね。片付けを終えたらすぐに向かうから先に食べていて」
「あ、はい。あの、ほんとに良かったです」
しつこいかな、とも思ったけど心からそう思ったことだから伝えてみる。


