なんて、心の中ではいくらだって言えるのに。
強くだってなれるのに。
どうして、現実の私はこんなに弱いんだろう。
「わ、たし……やり、ます……」
それだけ言うのがやっとだった。
私が最初から決断を迷わなければ、こんな怖い思いをすることもなかった。
吉良くんが悪く言われることもなかった。
そのあとのことは、よく覚えていない。
気付けば6時間目もそのあとのHRも終わっていた。
私はというと、席についたまま。
帰る用意をするわけでもなく、ただぼんやりと黒板を見つめているだけ。
吉良くんのところになんて、行けないよ。
また、迷惑をかけてしまった。


