どうしてもうん、と頷くことが出来なくて思わず下を向いてしまう。
「もったいぶってないで、さっさと決めろよ!あたしら早く帰りたいんだけどー」
「地味っぷるでイチャついてるくせに、こんなときだけ初なフリとかいらないから」
「……っ!」
私の耳に届いたのは、容赦ない罵声だった。
いや、実際迷惑をかけていたから、言われるのは時間の問題だったかもしれない。
ごめんなさい、と心の中で謝ることしかできない。
私のことは何を言っても構わないけど、吉良くんのことは悪く言わないで。
地味なのは私だけなんだよ。
あの人は、あなたたちが知らないところでキラキラ輝いているんだから。


