いつもの黒縁眼鏡に、大きなスポーツバックを持った吉良くんがこちらに走ってくる。
「い、いえ……待ってないですよ」
「ごめんね、早く着いてはいたんだけど僕を待つ君の姿が可愛くてつい……」
「……?」
……えーっと。
吉良くんの顔がりんごみたいに真っ赤になってしまいました。
もしかして、風邪!?
体調が悪い日に、無理して紹介してくれなくても良かったのに。
「……ごほん、行こうか。あのコンビニの近くにタクシー乗り場があるから、そこでタクシーを拾おう」
「はい」
どこに行くのかわからない私はただ吉良くんについて行く。


