苺のチョコが掛かったドーナツをばくっと大きく口を開けてかじると、あたしを見て舞花はぽかんとしている。



「……ん? 何?」

「縁ぃ! それって完璧“恋”でしょう!」

「はぁー?」



出たよ、また舞花の悪い癖が。



「もう舞花はすぐくっつけようとするんだから」

「今回は違うよ! 今の縁の答えを“これは恋でしょうか?”って街頭アンケート取ったら、100人中100人が恋だって言うから!」

「……そんなわけ」

「あるよ! 今まで間違った恋をしてきた縁にはわからないかもしれないけど!」



う、今のはグサッと来た……。

たしかに、恋愛未経験のあたしに、今の気持ちが恋かそうじゃないかを見分けるのは難しいのかも。


舞花はお皿にドーナツを置くと、テーブルに頬杖をつき、あたしを見てふわりと笑った。



「こんなもどかしい想い、樋田先輩の時にはしなかったでしょ? 今の縁の中にあるのが、本物の“好き”って気持ちだよ、きっと」



舞花のその言葉が、すとんと胸に落ちた気がした。

──あたしは、那央に恋してる……?