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「ん~~やっぱりうまい、ここのドーナツ!」

「幸せだよねぇ♪ あ、その抹茶のやつ一口ちょうだい」



巷で評判のドーナツ屋さんの小さなテーブル席で、あたしと舞花はいろんな種類の輪っかにかじりついている。

今日の放課後は、文化祭前最後の何の予定もない日だったため、こうして舞花とまったりしているわけだ。



「それにしても縁、最初は幽霊部員でもいいとか言ってたけど、なんだかんだでちゃんと参加してるよね」

「うん。だって部長さんが怖いんだもん」

「その他にも理由があるんじゃないのー? ほら、片霧くんに会うためとかさ!」



那央の話をする時の舞花は、いつもニンマリと怪しい笑みを浮かべる。

あたしは先日の思わせ振りな発言をするあいつを思い出し、ため息を吐き出した。



「んなわけないじゃん。出来れば会いたくないくらいなんだから。
あいつと会うとモヤモヤして他のこと手につかなくなるし、考えてることよくわかんなくてイライラするし……。とにかく、心を掻き乱されて嫌なの」