コイツ、俺の嫁候補。

ふと、取り巻きの女子達の後ろから控えめにコートを眺める女子に気付いた。

あれ……奈々ちゃん?

皆がはしゃいでいる中、彼女だけは切なげな瞳でまっすぐ先輩を見つめている。


それを見て、もしかして……とピンと来た。

奈々ちゃんも樋田先輩のことが好きなんじゃないかって。


すぐにコートから顔を背け、こちらに向かって歩き出した奈々ちゃんを見て、あたしは舞花に口早に告げる。



「ごめん、先に教室行ってて」

「え!? ちょっと縁!」



困惑している舞花を置いて奈々ちゃんに駆け寄る。

あたしに気付いた彼女は、大きな目をさらに見開いた。



「縁先輩! どうしたんですか?」

「ちょっと……話しない?」



キョトンとした奈々ちゃんに笑いかけると、中庭の方を指差した。

そこのベンチに座り、熱いくらいの日差しを受ける、青々とした芝生を見ながら単刀直入に切り出す。



「あのさ、奈々ちゃんって、樋田先輩のこと……」



そこまでで、奈々ちゃんはあたしの質問を理解したらしく、静かに頷いた。