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その翌週、昼休みに舞花と購買へパンを買いに行き、大好きなクリームパンをゲットして上機嫌で教室へ戻ろうとしていた時のこと。
渡り廊下に差し掛かると、きゃあきゃあと黄色い声が聞こえてくる。
「わ~今日もギャラリーが多いね、樋田先輩!」
メロンパンを抱えつつ目を丸くする舞花の声に、あたしは複雑な気分になりながらテニスコートに目をやる。
汗を流す先輩は相変わらず爽やかでカッコよくて。
それを取り巻く女子達も、いつもと変わらず夏の太陽みたいに熱い眼差しを向けている。
陸達から聞いたことを舞花に話すと、彼女も半信半疑だったけれど、先輩を見る目は変わったようだ。
「あんな噂が立っても、ファン達の熱気は冷めないんだねぇ……」
「そんなもんかもね。芸能人だって色んなスキャンダルが出ても、ファンはずっとファンなんだろうし」
「たしかに」
苦笑しながら頷く舞花。
そう、たぶん皆にとって樋田先輩は芸能人やアイドル的な存在で、それはあたしにとっても同じ。
きっと、本気で好きなわけじゃないんだ。



