コイツ、俺の嫁候補。

「皆お待たせしたわね! いろんなフレーバーを試そうと思って色々買ってきたわよ~」



ニコニコ笑顔のカレンさんが藤丸先輩とともに現れ、陸と海は慌てて英語のプリントをしまう。

そして那央は、「さっそくやりますかー」といつもの明るい調子で言った。

ほんの一瞬、寂しそうな笑みをあたしに向けてから──。


何だろう、このツキンとした胸の痛みは。

一瞬見ただけのあいつの切なげな表情に、どうして苦しくさせられるんだろう。

何で、あんな顔するのよ……。


胸の中がスッキリしないまま、あたしはさっきの席へ戻り試作の準備を始める。

すると、奈々ちゃんがまた何かを考え込むように、表情が暗くなっているような気がした。

そういえば、いつだったか同じような顔してることが前にもあったっけ?

どうしたんだろう……なんだか気になる。


でも、それよりもあたしは那央のことが気になって仕方ない。

この後も普通に接してくれた那央だったけれど、意識的にあたしと目を合わせないようにしていたと思う。

──それが、何故だかすごく寂しかった。