コイツ、俺の嫁候補。

二つの大皿に盛った回鍋肉を覗き込んだ後、美央ちゃんはお祈りでもするかのように両手を組み、あたしに弾けるような笑顔を向けた。



「ありがとうございます!! 私達家族のために、こんな労力を費やしてくださって……!」

「い、いえ」



美央ちゃんは美人でもあるおかげで、何かのお芝居を見ているようだわ……。


しっかり者でお姉さんらしい美央ちゃんに、ボーイッシュでツンとした華ちゃん、礼儀正しい秀才タイプの遼くん、おませで普段はやんちゃしていそうな翔くん。

カセイクラブと同じく、片霧家の子供達もとっても個性的だということがわかった。




「えっ、縁さんは食べていかないんですか?」



那央達が居間のこたつの上を片付けている時、キッチンで手を洗うあたしに美央ちゃんが言った。



「うん、うちもお母さんが夕飯作ってるから」

「そっかぁ、残念」



美央ちゃんは華ちゃんと違ってあたしにも優しい。

華ちゃんよりも那央に似ていて、長い黒髪がよく似合っている。

ずっと思っていたけど、那央を筆頭にこの片霧家の子達は美形揃いだ。なんて羨ましい家族だろうか。