薬指に収まった小さなダイヤが輝くプラチナの指輪が、あの日のシロツメクサと重なった。


──お父さん、おばあちゃん

縁はこんなに素敵な人に巡り逢えたよ。

いつかそっちの世界に逝くまで、あたしはこの人を愛し抜いて、大切にします。


お母さん達の手に持たれた、二人の写真に向かってそう誓った。


どれだけ泣いても沸いてくる涙をこぼしながら、あたしも那央の左手を取る。



「こちらこそ……約束、守ってくれてありがとう」



お互いの薬指と、涙と、笑顔がキラキラと輝く。

神聖な教会のまばゆい光の中、那央があたしのベールをふわりと持ち上げた。



「ずっと、一生愛してる」

「あたしも……!」



愛しい気持ちが抑えられなくて、あたしは彼の首に、彼はあたしの腰に手を回す。



「それでは、おふたりに誓いのキスを──あ!」



司会者の女性が思わず叫んでしまうくらい、完璧に二人の世界に入り込んだあたし達は、抱きしめ合ってキスをした。


沸き起こる祝福の声と笑い声。

皆の温かい拍手に包まれて、あたし達は夫婦になった。