指輪の交換をする時、指輪を運んでもらうリングガールを美雨ちゃんにお願いしていた。

もう7歳になった美雨ちゃんは、とっても明るくていい子で。

淡いピンク色のふわふわしたドレスを着て、てくてくと歩くとびきり可愛い姿に、皆が癒されたはず。


あたし達の前にやってきて、指輪を乗せたリングピローを差し出した彼女は、満面の笑顔で言う。



「結婚おめでとう! 縁ちゃんすっごくキレイだよ!」

「ありがとう。美雨ちゃんもすっごく可愛い」



笑い合っていると、隣の那央は「当たり前だろ」と自慢げな顔。



「コイツは俺の、最高の嫁なんだから」



最前列に座っていた片霧家の皆が、冷やかすように笑って盛り上がる。

皆の前でこんなことを恥ずかしげもなく言ってのけるところ、昔から変わってないな。

恥ずかしいけど、やっぱり嬉しい。

あたしはもう、“候補”じゃないんだもんね。



お互い向き合うと、指輪を手にした那央はあたしの左手を取る。

そして、ほんの少し憂いを帯びた表情であたしを見つめて言った。



「5年も掛かってごめんな」



そんな、謝らないでよ。

小さく首を振ると、那央は薬指に指輪を通しながら微笑む。



「でも、縁がいたからここまでやってこれたんだ。本当にありがとう」