コイツ、俺の嫁候補。

「本当に綺麗よ。……あの二人も天国から見てるわね、きっと」



お父さんと、おばあちゃんの笑顔が思い浮かんで、熱い感情が込み上げる。

目の前のベールの向こうで、お母さんが頬を濡らしながら微笑んだ。



「幸せになってね」



ブーケを握りしめ、必死に涙を堪えながら頷いた。

そして、今度は優しく見守っていたおじさんの腕に手を絡ませる。



──二人が再婚する前、おじさんはあたしにこんなことを言った。


『僕は父親面するつもりはないし、君も無理して本当の父親だと思おうとしなくていい。ただ、君が頼りにする存在になれたら嬉しいな』



おじさんは、あたしが『きっと本当の父親とは思えない』と言ったことを、ずっと気にしているんだ。

たぶん、今この瞬間も……

一緒にバージンロードを歩くことをためらう気持ちが、少なからずあるんじゃないかな。


あたしはこの5年間で、本当に自然に家族になれたと思ってる。

でも一つだけ、まだ出来ていないことがあったね。

今、それを伝えよう。