それから一ヶ月半後、那央は二次試験も見事合格した。
倍率は約7倍の、狭き門を突破したんだ。
あたしはまた感激で涙をこぼし、那央は信じられないような顔で、
二人で抱き合って喜んだ。
その数日後、爽やかな青空が広がる日に──
おばあちゃんは、静かに息を引き取った。
入院中はあたし達の呼び掛けに、微笑んだり頷いたりするくらいで、まともな会話はほとんど出来なかった。
あの日、あんなに話せたのは本当に奇跡だったのかもしれない。
ただ、亡くなる一週間前によくうわごとで呼んでいたのは、あたしでもお母さんでもなく、おじいちゃんの名前だったらしい。
おばあちゃんの中に最後に残ったのは、やっぱり一番愛する人だったんだろうな……。
とっても、とっても悲しくて、たくさん泣いたけど、後悔は一つもなかった。
感じるものは感謝の気持ちばかり。
将来の夢を見付けさせてくれて、ありがとう。
深い愛情を与えてくれて、ありがとう。
明るくて、あったかい笑顔のおばあちゃんが大好きでした。
天国でも、おじいちゃんと仲良くね。