コイツ、俺の嫁候補。

「……ありがとう、那央。那央のおかげで、久々に名前を呼んでもらえた」



おばあちゃんが今のあたしをちゃんとわかってくれて、本当に救われた気がした。



「あとね、嬉しかったよ。“一生守っていく”って言ってくれて。ちょっと本気にしちゃったけどね」

「ばーか。本気だっつーの」



──え?

キョトンとして足を止めると、あたしの手を握ったまま、那央は真面目な顔で話し出す。



「最近、俺ずっと余裕なかったんだ。受験勉強に必死になってるうちに、頭も心も一杯一杯になってた。
縁と離れることも、あえて考えないようにしてたよ。少しでも考えたら、不安で立ち止まっちまいそうだったから」



そっか……。

目の前の問題にばかり囚われて、気持ちに余裕が持てなくなってたんだね。

那央だけじゃなくて、あたしも。



「おかげで大事なことが見えなくなってたらしい」

「大事なこと?」

「お前を好きだっていう、この気持ちさえあればいいんだってこと」



──ドキン、と心臓が心地良い音を奏でた。