コイツ、俺の嫁候補。

きっとおばあちゃんの目には、あたしは綺麗にお化粧をして、ドレスに身を包んだ花嫁に見えているのだと思うと、

切なくて、涙を堪えることが出来なくなった。



「縁は、泣き虫だねぇ……さやかにそっくりだ……。これからも……お母さん、大切にね」

「……うん」



あたしはしっかりと何度も頷く。

ベッドの反対側にいるお母さんも、唇を引き結んで必死に涙を堪えていた。

おばあちゃんは、あたしの隣にいる那央を見る。



「縁のこと……よろしく、お願いします……」



あたしの肩に置いた那央の手に、力が込められた。



「はい。一生守っていきます」



力強い声が、本当の誓いのように思えてしまう。

おばあちゃんは満足そうな笑みを見せて、あたしにこう言った。



「幸せになるんだよ……縁」



とめどなく涙が溢れて止まらない。

結局あたしは、おばあちゃんの手を握って頷くことしか出来なかった。


でも、マスクに邪魔されながらも精一杯届けてくれたおばあちゃんの声と、優しい笑顔は、

全部、全部──絶対に忘れないよ。