「ちょっと前まで元気なかったから心配だったけど、最近ようやく元の縁に戻ってきたから安心した」

「あたし……元気なかった?」

「色々と悩んでた頃だけどな。ずっと暗い顔してた」



言われてみればそうだったかも。

那央はもどかしそうにくしゃっと頭を掻く。



「縁が悩んでたのに何もしてやれなくて、すげー自分が不甲斐なかったよ」

「そんなふうに思わないで。……あたしが甘えてただけなんだから」



そう、きっとあたしはいつの間にか周りに甘えていたんだ。

親のことも、進路のことも、きっちり決められないのは弱い自分のせいだったのに……

誰かのせいにしたくて、悲劇のヒロインぶって現実から逃げてただけなんだ。



「でも、もうめげないよ」



そんな弱虫な自分とは、もうサヨナラしたい。



「大学も迷ったけど、四大を受けることに決めた。県外の、学生寮があるとこ」



ソーシャルワーカーの資格を取るには、四大へ入れば卒業と同時に受験資格が得られる。

けれど、福祉系の四大は家から通える距離になく、一人暮らしをするにはお金が掛かるし、どうしようか悩んでいた。