梅の花の蕾が膨らみ、今年も別れの季節がやってきた。

うららかな小春日和に行われた卒業式の後。

今日は制服ではなく華やかな袴やスーツに身を包んだ先輩達の中に、あたし達カセイクラブの面々が混じっている。



「わぁ、カレンさん派手……!」

「紅白の演歌歌手にいそうだよな、あぁいうの」

「近付くのに勇気いるけど……行くよ!」



一言も喋らないネクラを従え、奈々ちゃん、那央とコソコソ話しつつ、演歌歌手もどきの彼女のもとへと向かう。

彼女の隣には、どう見てもSPにしか見えない藤丸先輩がいつものように付き添っている。

その二人に、同じく豪華にした花束を差し出した。



「カレンさん、藤丸先輩、卒業おめでとうございます!」

「きゃあ! ありがとう皆~~!!」



一人だけ真っ赤でキラキラした振袖姿のカレンさんが、あたし達を見て歓喜の声を上げた。

藤丸先輩にサッと花束を預け、カレンさんはあたしと奈々ちゃんにぎゅーっと抱きつく。

その横で、那央が先輩に挨拶していた。