コイツ、俺の嫁候補。

あたしの唐突な発言に、目を点にする凪さん。



「え、肉まん?」

「はい! さっき結構売れ残っちゃったんです。廃棄だからちょっと味は落ちるけど、まだ温かいしなんせタダなんで」

「でも、もらっちゃいけないんじゃないの?」

「“どうせ捨てるなら持って帰れ”ってのが、ここの方針なんですよ」



ニッといたずらっぽく笑ってみせると、凪さんはぷっと吹き出して、「じゃあ、お言葉に甘えて」と言った。



退勤した後、他にも食べ物を買った凪さんに肉まんとピザまんを渡すと。



「せっかくだから一緒に食べない?」

「えっ? でも……」

「あ、那央が心配? 大丈夫大丈夫! これくらい浮気のうちに入んないから」



軽く笑う凪さんは、「それに」と言葉を繋げる。



「ちょっと君に聞きたいこともあって」

「……聞きたいこと?」



そんなふうに言われたら食いつかないわけがない。

あたしの反応に満足げな笑みを浮かべた凪さんは、近くの皆神公園へ行こうと誘った。