「お願いします舞花さん! クリスマス、家に泊めさせてくださいっ!!」



クリスマス三日前、教室でお弁当を食べながら、あたしは両手を合わせて舞花に頭を下げていた。

卵焼きをぽいっと口に入れた彼女は、片方の頬を膨らませたまま目をぱちくりさせる。



「なぁに、どうしたの?」

「実はですね……」



つい昨日のことだ。

お母さんに、『クリスマスの夜、健司くんを呼んでうちでお祝いしようと思うんだけど、縁は何か予定ある?』と聞かれたあたしは。

『クリスマスは舞花の家に泊まるから!』と、咄嗟に嘘をついてしまったのだ。


三人で焼肉を食べに行って以来、お母さんはあえておじさんのことは口にしないようにしているみたいだった。

『すぐにでも再婚したいってわけじゃないから、縁もゆっくり考えて』

と言われたくらいで。


でも、やっぱり気持ちは変わらないし、おじさんのことは全然嫌いじゃないけど、会うとなるとどうしても気まずさがある。

だから、クリスマスも予定があるフリをしてしまったのだった。