「これから先、ずっとそれは変わらないと思う。……おじさんは、それでもいいの?」



きっとショックを受けているに違いない。

罪悪感を抱きながらも顔を上げると、少し傷付いたような表情をするおじさんと、その後ろに、いつの間にか戻ってきたお母さんが立っていた。

おじさん以上に、お母さんは悲しそうな顔をしている。


とっても申し訳ないけれど、これがあたしの正直な気持ち。

あたしにとってのお父さんは一人だけなの。

新しいお父さんはいらない。

それがどんなに好感が持てて、素敵な人であっても。



「……ごちそうさまでした。あたし、外に出てるね」

「縁ちゃん……!」

「待って、縁!」



この場の気まずさに耐える力はなく、呼び止める二人の声を無視して、あたしはお店の外へ向かった。


12月の冷たい空気が肌を刺す。

白い息を吐き出しながら夜空を見上げた。

思い浮かぶのは、大好きな彼の顔。



「那央……」



こういう時、あいつはどんな言葉を掛けてくれるんだろう。

家族想いの那央なら、いい解決策が思い浮かぶのかな。


──那央に、会いたい。