コイツ、俺の嫁候補。

黙って俯くあたしに、おじさんは空気を変えるように明るい調子に戻る。



「あーもう、ダメだな僕は! 今日は楽しくご飯食べるだけって思ってたのに、こんな暗い話して」

「ううん。あたしも辛いこと思い出させちゃって、ごめんなさい……」

「全然縁ちゃんのせいじゃないよ。気にしないで……って肉焦げてる!」



慌ててトングで黒焦げになった肉を取るおじさんに、笑いがこぼれた。

こんなふうにいつも明るい印象の彼も、辛い過去を秘めているんだな……。



「縁ちゃんはもう進路決まってる?」



突然話題が変わって、あたしはお肉を食べながら考えを巡らす。

もう来年は受験生。

そろそろはっきり進路を決めなければいけないんだろうけど……。



「まだ、具体的には……。お母さんは進学してほしいって言ってて、あたしも出来ればそうしたいと思ってるけど」

「そうだよな。現実的な問題だけど、そうなるとやっぱりお金が掛かるし、金銭面でも僕は協力したいと思ってるんだ」