コイツ、俺の嫁候補。

年を取ってきたから、ちょっとボケてきちゃっただけなのかなって軽く考えてた。

でも認知症ってはっきり言われると、おばあちゃんは病気なんだと思い知らされる。



「あの老人ホームじゃ認知症の人は看てもらえないから、他の施設に移さなきゃいけないのよ」

「大変になるね」

「そうね……」



不穏なムードの車内には不釣り合いな、綺麗な夕日で街はオレンジ色に染まっている。

眩しそうに目を細めながら、お母さんは何かを考えているみたいだ。



「ねぇ縁、ちょっと提案なんだけど」

「うん、何?」

「お母さん、再婚してもいいかしら」



………………サイ、コン?

………さ、再婚っ!?



「はぁぁ~~!?」



フロントガラスを割りそうなくらいの雄叫びをあげるあたし。

再婚って……再婚って!!



「お母さん、そんな人がいたの!?」

「実は私も縁に内緒で付き合ってる人がいたの。ゴメンね?」



ぽっと頬を赤らめてるのは、絶対夕日のせいなんかじゃない。

まさか、お母さんも恋をしてたなんて……!!