コイツ、俺の嫁候補。

「あんな宣言しちゃったから、また変な噂が広まるかもよ? あたしだけじゃなくて那央も」

「上等だ。いくらでも道連れになってやるよ」



二人して笑い合う。

やっぱり平気だよ、那央。

舞花以外にも、あたしにはこんなに心強い味方がいるんだから。



──ただ、ほんの少しだけ気になることがある。



『同じ大学とか行く可能性もあるじゃん?』

『それは絶対ないよ。だって片霧くんはさー……』



那央は、何?

さっきのあの子達は何を言おうとしたんだろう。


小さな疑問が心の隅っこに引っ掛かるけど、でもたぶんたいしたことじゃないよね。

何かあるなら、那央はきっと言ってくれるはずだから。


気分を変えるように、こんな提案をしてみる。



「ねぇ、今日夕飯作ってあげようか」

「お、マジ!? じゃハンバーグで!」

「了解です」



手を上げて子供みたいにリクエストする那央に、ふふっと笑いがこぼれた。


あたしは彼が好きで、彼もあたしを想ってくれてる。

その事実があれば、きっとこれからもうまくやっていけるよ──。